就職氷河期の時代、訪問販売会社へ

話は、私が会社員として働きはじめたころにさかのぼります。
このころは行政書士の存在自体ほとんど知りませんでした。


私の社会人デビューは訪問販売会社でした。
大学卒業後、東京郊外にある床下のシロアリ駆除をする訪問販売業者に就職いたしました。
従業員は私を含め7人で、事務員さんを除く6名が営業マンです。

この会社の仕組みはいたってシンプル。給料は完全歩合制で、売上の10%が手元に残ります。
つまり売上が上げられない営業マンは給料が全くもらえません。
さらに保険などの控除もなく、会社の仕組みが何も整っていないところでした。

それ故、売上が上げられなくて辞めて行く社員が後をたたず、3ヶ月持てば良いといわれるくらいの劣悪な環境でした。
私の記憶する限り、一番のベテラン社員でも2年くらいだったと思います。
この時は周りの友人や会社の同僚までも何で大学まで出て、こんな会社に就職したのかと よく言われていました。

それもある意味仕方がなかったのです。
というのも、私の時代は就職氷河期といわれて、中々希望する企業から内定を貰うことはできず、就職浪人になるケースが多かったのです。

私もその一人で、何十社と受けた中で、1社も内定を貰えず、しょうがなく、すぐに入れてくれる会社に入るしかありませんでした。

そんな中でも私は、徐々に実績を上げてきて、入社した当初は、給料が数万円でしたが、5ヵ月後には、月額50万円ほど貰えるようになりました。
この額は友人、もしくは同年代と比べてもかなり貰っているほうだったと思います。


そして入社してから約1年が経とうとしていた時でした。
この会社は一件、一件飛び込みで 営業し、各家庭に上がりこみ、床下を点検していくことになるのですが、ほとんどは、シロアリなどいることも少なく、仕事にはなりません。ですから、シロアリ駆除以外にも 床下の補強工事の仕事もしていました。
ただ、われわれは大工さんでもなければ、建築関係の知識はほとんどない素人同然なので、床下を見ても何もわからないのです。

でも契約は取らなければ売上になりませんから、たいしたことのない柱や基礎コンクリートの傷を大げさに言って工事の仕事を貰っていた状況です。
お客さんも素人ですからわれわれが言うことを信じてしまいます。

現に私も会社から教育され、本当に必要な工事だと信じ込まれていました。
しかし徐々にそのことに気づいてきて、本当に必要な工事なのか? 私はお客さんの為になることをしているのか? 
仕事自体に疑問を持ち始めていました。

一度そうなってしまえば、仕事にも力が入らず、もちろん売上も上がらなくなるので給料も下がってきます。
それでも何とか踏ん張ろうと自分を奮い立たせて頑張っていました。